我々は先週の木曜日にここに引っ越した。引っ越しといってももといた建物を改装するあいだの一時的な移動で、駐車場を挟んで隣のビルディングに移動しただけである。
建物の中は広い。ここは以前はレストランとして使われていた。入り口の両開きの扉を開けるとコートがあり、右手にバーがある。まっすぐ進むと広々としたメインルームに行き着く。その奥にはキッチンがある。コートの脇にある階段を上ると小部屋がある。おそらく事務所として使われていたのだろう。
めぼしいものは殆ど持ち去られているが、テーブルがいくつか、それと大量の椅子がそのまま残されている。そして人の背の高さほどに山積みされた段ボール箱。なかには古い型と柄の安物のネクタイがぎっしり詰め込まれている。
近所の人の話によれば、この建物は10年近く閉められていたという。当然ものすごくほこりくさい。初めてこの建物にはいったときには幾つかネズミの死骸もみつけた。引っ越しを手伝った幾人かは僕も含めてアレルギー的な反応に悩まされた。カーペットをスティームクリーニングして以降少しはましになったような気がするが、あまり健康的な職場環境とは言い難い。
当初オーナーはプロダクションのみならず,我々シッピング部門もキッチンで仕事するよう執拗に要求し続けた。しかし僕は勝手にAT&Tの技師に指示して電話回線を通りに面した部屋にインストールしたので、我々シッピング部門は一応,夏の光と外気を確保した。
しかしキッチンには窓もなく、ほとんど全く自然光は入ってこない。そこにある全てのものが脂ぎっており、妙なにおいがする。そこにいるだけで気が滅入ってくる。様子を見るため何度か足を運んでみたが,いつも人びとは無言で作業をしていた。とにかくとてもファンキーな職場だ。雰囲気を盛り上げるため、金正日とルチャリブレリスラーの写真を壁に貼った。
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